「会う」と「合う」は何が違う?知ると面白い「同音異義語」と「同訓異字」
この記事の要点
回答・解答、会う・合う、直す・治す、早い・速いを例に、同音異義語と同訓異字の違いや見分け方を紹介します。小学生向けクイズと無料プリントへのリンク付きです。
「回答」と「解答」。
「会う」と「合う」。
どちらの組も読み方は同じですが、漢字を入れ替えると意味が変わります。
「同じ音なのに、なぜいくつもの漢字があるのだろう?」
そう考えてみると、漢字は音を記すだけでなく、言葉の意味を目で伝える文字でもあることに気付きます。
今回は、小学生の漢字学習や中学受験の国語にもつながる「同音異義語」と「同訓異字」を、身近な例から見分けていきましょう。
「同音異義語」と「同訓異字」はどう違う?
まずは、二つの言葉を整理します。
| 種類 | 見分けるポイント | 例 |
|---|---|---|
| 同音異義語 | 発音が同じで、意味が異なる別の言葉 | 回答・解答、機会・機械 |
| 同訓異字 | 同じ訓をもつ漢字を、意味によって使い分ける | 会う・合う、直す・治す |
「同訓異字」は、文化庁の資料では「異字同訓」と表記されています。漢字学習ではどちらの呼び方も見られますが、この記事では教材でよく使われる「同訓異字」と呼びます。
なお、「会う」と「合う」も、発音が同じで意味が異なるという広い見方では同音異義語です。ただし、どちらも「あう」という訓読みを使うため、漢字の学習では同訓異字として整理すると違いが分かりやすくなります。
「回答」と「解答」は、何に答えるかで決まる
「かいとう」と読む二つの熟語を比べてみましょう。
回答
質問、照会、アンケートなどに答えることです。
アンケートに回答する。
解答
問題を解いて、答えを出すことです。
算数の問題に解答する。
「何を聞かれ、それに答えるのか」なら回答、「問題を解く」のなら解答です。「解答」には「解く」という動作が含まれている、と考えると覚えやすくなります。
このように、同じ「かいとう」という音でも、文の中で表す意味によって別の言葉を選びます。
同じ音の言葉は、文章の中で見分けている
同音異義語は、特別に珍しいものではありません。
- 機会・機械
- 意外・以外
- 関心・感心
- 公園・講演・公演
- 開放・解放
- 制作・製作
国立国語研究所の書き言葉コーパスを使った研究では、調査対象となった図書館書籍10,551サンプルの95.4%に、少なくとも一組の漢語の同音異義語が現れました。辞書の中だけでなく、実際の文章にも広く現れる言葉の仕組みだと分かります。
例えば、耳で「こうえん」と聞いただけでは、公園、講演、公演のどれかを決められません。
放課後に公園で遊ぶ。
宇宙についての講演を聞く。
劇団の東京公演を見る。
前後の言葉まで読むと、場所なのか、話を聞く催しなのか、演劇などの上演なのかが分かります。漢字は、その違いを目で確かめる手掛かりになります。
なぜ同じ読みの熟語がいくつもあるの?
日本語の漢字音は、中国から伝わった音が日本語の音の仕組みに合わせて定着したものです。また、日本語には漢字を組み合わせた漢語が数多く取り入れられ、同じ読みになる熟語も増えてきました。
ただし、「日本語の音が少ないから」という一つの理由だけで、同音異義語の全てを説明できるわけではありません。言葉が伝わった時期、読み方の変化、新しい熟語が作られてきた歴史など、いくつもの事情が重なっています。
大切なのは、同じ音だけでは意味が決まらない場合があることです。私たちは会話では話の流れから意味を捉え、文章では文脈と漢字の両方を手掛かりに読み分けています。
「会う」と「合う」は、人か、一致か
「あう」は、同訓異字の代表的な例です。
会う
主に、人と人が顔を合わせるときに使います。
駅で友達に会う。
合う
二つ以上のものが一致したり、調和したりするときに使います。
二人の意見が合う。
計算の答えが合う。
文化庁の「『異字同訓』の漢字の使い分け例」でも、「会う」は主に人と人が顔を合わせる場合、「合う」は一致・調和や、互いに何かをする場合と整理されています。
迷ったときは、「人と顔を合わせるのか」「ぴったり一致するのか」と言い換えてみましょう。
「直す」と「治す」は、元に戻すものが違う
「なおす」も、何をよい状態に戻すのかで使い分けます。
直す
誤り、故障、乱れなどを正しい状態に戻したり、別の形に置き換えたりするときに使います。
- 時計を直す
- 答えを直す
- 姿勢を直す
治す
病気やけがをよくするときに使います。
- 風邪を治す
- けがを治す
「物や間違い」なら直す、「病気やけが」なら治す、と考えると見分けやすくなります。
「早い」と「速い」は、時とスピードで考える
「はやい」には、よく使う二つの表記があります。
早い
時期や時刻が前であることや、かかる時間が短いことを表します。
朝早く起きる。
まだ帰るには早い。
速い
動きや進み方にスピードがあることを表します。
新幹線は走るのが速い。
川の流れが速い。
「いつなのか」に注目するなら早い、「どれほどのスピードか」に注目するなら速い、というのが基本です。
「見る」「観る」「看る」は、学校ではどう考える?
日常の文章では、次のような書き分けを目にすることがあります。
- 映画を観る
- 病人を看る
ただし、常用漢字表では「観」と「看」に「みる」という訓は掲げられていません。「観る」「看る」は、常用漢字表にない読みを使った表外音訓です。
常用漢字表と文化庁の使い分け例に沿うと、「見る」は眺める、調べる、世話をするといった広い意味に使えます。医師が診察する場合は「診る」と書きます。
- 映画を見る
- 子供の面倒を見る
- 医師が患者を診る
「観る」「看る」が一律に誤りというわけではなく、作品の内容を味わう、世話をする、といった意味を意識して使われる表記です。ただし、小学校の漢字問題で特別な指示がなければ、常用漢字表に沿った「見る」を基本にすると安心です。
音声入力や変換ソフトも、文脈を手掛かりにする
スマートフォンに「かんしんしました」と話しても、音だけでは「感心」か「関心」かを決められません。
毎日練習する姿に、感心しました。
海の環境問題に、関心があります。
音声入力や日本語入力の変換候補は、前後の言葉や、よく使われる言葉の組み合わせなどを手掛かりに選ばれます。それでも意図と違う漢字になることがあるため、最後に人が文全体を読み返す必要があります。
同音異義語や同訓異字の学習は、漢字だけを見て覚える練習ではありません。前後の文から「ここでは何を表しているのか」を考える、読解の練習でもあります。
家庭学習では、どう覚える?
1. 短い文と一緒に覚える
「機会=チャンス」と単語だけで覚えるのではなく、「発表する機会があった」と文にします。「機械」なら「工場の機械が動く」と覚えます。
2. 漢字を使った別の言葉を探す
「治す」の「治」は、治療や完治にも使われます。「直す」の「直」は、正直や直線にも使われます。知っている熟語と結び付けると、漢字の意味を思い出しやすくなります。
3. 二つの文を並べて比べる
時計を直す。
病気を治す。
同じ読みの部分だけを変えた文を並べると、「何が違うから漢字が変わるのか」が見えやすくなります。
4. 自分で例文を作る
覚えた言葉を使って一文ずつ作り、家族で問題を出し合ってみましょう。答えだけでなく、選んだ理由も説明すると理解が深まります。
中学受験では、文全体を読む力が大切
中学受験の国語では、同音異義語や同訓異字が語句・漢字の知識問題として扱われることがあります。
- 文に合う漢字を選ぶ
- 仮名の部分を漢字に直す
- 誤って使われている漢字を見つける
- 熟語の意味に合う文を選ぶ
難しい言葉を大量に暗記する前に、まずは小学校で習う漢字を使った身近な言葉を、文の中で使い分けられるようにしましょう。
「どんな場面か」「何について述べているか」を確かめてから漢字を選ぶ習慣は、語句問題だけでなく、読解や作文にもつながります。
クイズコーナー
最後に、文に合う漢字を選んでみましょう。
Q1算数の問題の『かいとう』を書く。「回答」と「解答」のどちらですか?
答えを見る
解説:問題を解いて答えを出すためです。質問やアンケートに答える場合は『回答』を使います。
Q2駅で友達に『あう』。「会う」と「合う」のどちらですか?
答えを見る
解説:人と人が顔を合わせる場面だからです。意見や答えが一致する場合は『合う』を使います。
Q3壊れた時計を『なおす』。「直す」と「治す」のどちらですか?
答えを見る
解説:故障した物を正しい状態に戻すためです。病気やけがをよくする場合は『治す』を使います。
Q4朝『はやく』起きる。「早く」と「速く」のどちらですか?
答えを見る
解説:起きる時刻が前であることを表すためです。動きのスピードを表す場合は『速く』を使います。
Q5環境問題に『かんしん』がある。「関心」と「感心」のどちらですか?
答えを見る
解説:あることに興味をもっているという意味だからです。立派だと感じて心を動かされる場合は『感心』を使います。
Q6学校の漢字問題で『映画をみる』と書く。「見る」「観る」「看る」のうち、基本となる表記はどれですか?
答えを見る
解説:常用漢字表では『観る』の『みる』は表外音訓です。作品を味わう意味で『観る』も使われますが、学校学習では『見る』が基本です。
もっと練習したい場合は、BrainySprouts Prints の同音異義語の使い分けプリントと、同訓異字の使い分けプリントを使えます。どちらも答え付きで、学年の範囲に合わせたプリントを用意しています。
まとめ
同音異義語は、同じ発音をもつ、意味の異なる言葉です。同訓異字は、同じ訓をもつ漢字を、文の意味に合わせて使い分けるものです。
使う漢字に迷ったときは、読みだけで決めず、次の二つを考えてみてください。
- この文は、何について書いているのか
- その漢字は、どんな意味を表しているのか
「なぜこの漢字なのだろう」と立ち止まると、言葉の細かな違いが見えてきます。漢字の使い分けを学ぶことは、正しく書く力だけでなく、文脈を読み取り、自分の考えを正確に伝える力を育てる学習でもあります。
参考文献
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