神保町を歩けば、工業地帯が見えてくる。出版・印刷と京浜工業地帯の話

この記事の要点

海沿いの工場だけではない、京浜工業地帯のもうひとつの顔。神保町から印刷・出版業を見ていきます。

「工業地帯」と聞くと、海沿いに広がる工場群や煙突の風景を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも京浜工業地帯には、ほかの工業地帯にはあまりない「都市型工業」という顔があります。その代表が、印刷・出版業です。

そして、その産業の集積を肌で感じられる場所が東京にあります。神田神保町、通称「神保町」です。

日本地図で京浜工業地帯と東京の位置を確認する学習イメージ

京浜工業地帯は「印刷大国」でもある

日本の工業地帯の中で、京浜工業地帯が他と大きく異なる点のひとつが印刷・出版業の発達です。東京には出版社、編集者、印刷会社、デザイン会社、本の流通に関わる会社などが集まり、情報を形にして届ける産業が発展してきました。

なぜ東京に印刷・出版が集中するのでしょう? 理由はシンプルで、日本最大の情報・消費集積地だからです。情報を届けたい相手(読者・企業)が最も多く集まる首都圏に、情報を作る産業も自然に集まります。

出版社・編集者・印刷所・デザイン会社・取次(本の流通業者)が近くに集まることで、本一冊を作るサプライチェーンがコンパクトに回る。それが東京ならではの産業の強みです。

中京工業地帯が「自動車」、瀬戸内工業地域が「化学」という顔を持つように、京浜工業地帯の個性のひとつが「情報・出版」であると覚えておきましょう。

なぜ神保町に出版社が集まったのか

東京都千代田区の神保町は、世界最大級の古書街として知られ、多くの古書店や書店が集まる本の街です。明治期以降、岩波書店、三省堂、小学館、集英社など、多くの出版社も神保町周辺に集まってきました。

この街が「本の街」になったのには歴史的な背景があります。明治10年代、神保町周辺には法律学校が相次いで誕生しました。学生が集まれば、教科書や専門書を求める需要が生まれます。その学生たちに向けて書店・古書店が次々と開店し、やがて出版社も集まるようになりました。

大学・学校・書店・出版社が近くに集まるこの土地の構造が、現在の「本の街・神保町」の原点です。

岩波書店が開業したのも1913年のこと。当初は古本屋から始まり、翌年に夏目漱石の『こころ』を出版したことで出版社としての道を歩み始めました。情報・知識・文化が集まる場所として、神保町は100年以上の歴史を積み重ねてきたのです。

神保町散策、子どもと一緒に楽しむ方法

受験勉強の合間に、または旅行の一環として、神保町を親子で歩いてみませんか。「本がこんなにある!」という体験だけでも、子どもの記憶に残ります。

絵本・子ども向け本を探す

神保町には古書店だけでなく、新刊書店もあります。子ども向けの本を親子で選びながら歩くのは、それだけで楽しい時間になります。三省堂書店神保町本店は児童書のフロアが充実しており、受験参考書から絵本まで幅広く揃っています。

また古書店では、絶版になった昭和の学習本や図鑑が格安で見つかることもあります。「昔の教科書ってこんな感じだったんだ」という発見も楽しい時間になります。

ブックカフェでひと休み

神保町には本と食が融合した個性的なカフェが点在しています。岩波書店ゆかりの「神保町ブックセンター with Iwanami Books」は、岩波書店の本に囲まれたカフェ兼コワーキングスペースで、本を読みながらゆっくり過ごせます。

散策の途中でひと息つきながら、「ここにある本、全部どこかで印刷されてるんだね。それって工場で作られてるんだよ」と話してみるだけで、都市の中の「ものづくり」が少しリアルに感じられます。

「なぜここに出版社が多いの?」を話してみる

神保町を歩きながら「この辺に出版社がたくさんあるのはなぜだろう?」と一緒に考えてみましょう。「大学があって学生が多かったから」「本屋が集まっていたから」「印刷所が近くにあったから」。そうした会話が、産業の立地という地理の学習に自然につながっていきます。

工場は海沿いにあるだけではありません。都市の中心にも「情報を作る工業」がある。そのことを、神保町という街が教えてくれます。

受験で問われる「京浜工業地帯」のポイントまとめ

ポイント内容
場所東京・神奈川(川崎・横浜)を中心に内陸部まで
最大の特徴印刷・出版業が発達(都市型工業として出題されやすい)
沿岸部鉄鋼・化学・石油化学(川崎・横浜・大田区など)
内陸部機械工業(相模原・埼玉方面など)
工場規模中小規模の工場が多い
近年の変化地価上昇・用地不足で工場が北関東などへ移転

他の工業地帯と比べたとき、「重化学工業だけでなく印刷・出版などの都市型工業が発達している」という点が京浜工業地帯最大の個性です。試験でも「京浜工業地帯の特徴として当てはまるものを選べ」という問題でよく問われます。

BrainySprouts Prints では、工業地帯・工業地域の白地図プリントや確認シートを公開しています。神保町散策の前後に、ぜひ京浜工業地帯の場所を地図で確認してみてください。

親子でできる確認クイズ

記事を読んだあとに、親子でクイズを出し合ってみましょう。

Q1京浜工業地帯は、東京ともう一つどの県を中心に広がっていますか?

答えを見る
答え:神奈川県

Q2京浜工業地帯の特徴として覚えたい、本や教材などと関係が深い工業は何ですか?

答えを見る
答え:印刷・出版業

Q3古書店や出版社が集まる、本の街として知られる東京の地域はどこですか?

答えを見る
答え:神保町

Q4首都圏の需要や情報産業と結びついた工業を、この記事では何と呼んでいますか?

答えを見る
答え:都市型工業

Q5京浜工業地帯で、都市化によって工場が移転する背景になった課題は何ですか?

答えを見る
答え:地価上昇や工業用地の不足

参考文献

幼児・小学生向け知育アプリ・Webサービスの開発・運営チーム。保護者の声をもとに、家庭で使いやすい教材づくりを続けています。運営・サービス概要
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