「お友達と同じ公立に行きたい」と言われたら——その言葉の奥にあるものを聞いてみよう
受験勉強が本格化する中で、子どもが「友達と同じ公立でいい。受験やめたい」と言ったとき、親はどう受け止めればいいのか。その言葉の奥にある不安・疲れ・納得感を整理し、聞き方を考えます。
「お友達と同じ公立に行きたい」と言われたら——その言葉の奥にあるものを聞いてみよう
子どもが「やめたい」と言ったとき、どう受け止めるか。その一言の意味を整理しながら、親にできる関わり方を考えます。

受験勉強が本格化してきたある日、子どもが突然こう言い出す。「○○ちゃんと同じ公立でいい。受験やめたい」——。驚いて、どう返したらいいかわからなかった、という保護者の声をよく聞きます。これは珍しいことではありません。塾通いが始まって数か月、疲れも出てくる時期に、ふとした瞬間に出てくる言葉です。
問題は、この一言にどう向き合うか、です。
その「やめたい」は、何を意味しているのか
「お友達と同じ公立に行きたい」という言葉には、実はいくつかの異なるメッセージが重なっていることがあります。整理してみると、大きく3つです。
1. 本当に友達との別れが怖い
小学生にとって、毎日一緒にいる友達と「中学から別れるかもしれない」という現実は、大人が思う以上に重くのしかかることがあります。特に仲の良い友達が受験をしない場合、「自分だけ違う道を行く」という孤独感が芽生えやすい。
2. 疲れているサイン
「友達と公立」という言葉の裏に、「もう休みたい」「しんどい」という気持ちが隠れているケースも少なくありません。直接「疲れた」とは言えなくて、出口として「やめたい」が出てくる。
3. なぜ受験するのか、腹落ちしていない
友達と過ごす日常の方が楽しく見えるとき、「なんで自分だけこんなに頑張らないといけないのか」という疑問が出てくることがあります。受験の目的が、子ども自身の言葉になっていないとき、この問いは出やすい。
どれがその子の「本音」なのかは、聞いてみなければわかりません。
やってしまいがちな反応
とっさに出やすいのが「でも、将来のためでしょ」「今だけ頑張れば」という言葉です。親としては本音で、間違ってもいない。ただ、子どもがそれを聞いて「そうだね、頑張ろう」とはなかなかなりません。
なぜか。子どもはまだ「将来」を実感として持てる年齢ではないからです。児童心理の観点からは、小学生は現在の感情・関係性・体験から世界を捉えており、論理的な説得より「今の気持ちをわかってもらえたか」の方がずっと大きく響くとされています(渡辺弥生, 2019)。
つまり、「やめたい」に対してすぐ「でも」を返すと、子どもの気持ちは置き去りになる。そこで会話が終わってしまいます。
じゃあ、どう聞くか
まず、決断を急がないことです。「やめる・続ける」の結論を出そうとするより先に、「そう思ったんだね」とひとつ受け取る。それだけで子どもの表情が変わることがあります。
そのうえで、こんな問いかけが有効です。
- 「○○ちゃんと離れるのが嫌なの?それとも、勉強が嫌になってきた?」
- 「最近、しんどいなって思うことある?」
- 「もし受験しなかったら、何がいちばんよかったと思う?」
どれも、答えを誘導しない問いかけです。子ども自身が自分の気持ちを言葉にするための「入口」を作ることが目的です。教育カウンセリングの分野では、親が「聞き手」に徹することが、子どもの自己決定感を育てる上で重要とされています(国立教育政策研究所, 2022)。
「続けるか・やめるか」より先にすること
子どもが「やめたい」と言ったとき、それが本気かどうか、すぐには判断できません。だからこそ、その場で答えを出そうとしなくていい。「一緒に考えよう」という姿勢が、子どもにとっていちばん安心できる返答になります。
受験の結果がどうなるかはわかりません。でも「あのとき、ちゃんと話を聞いてもらえた」という記憶は、その後の親子関係に長く残ります。「やめたい」という言葉は、ピンチではなく、子どもが親に本音を話してくれたサインかもしれません。
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参考文献・出典
- 渡辺弥生『子どもの「10歳の壁」とは何か?』光文社新書(2019年)
- 国立教育政策研究所「子どもの自己決定力と家庭環境に関する調査」(2022年)
- おおたとしまさ『勇者たちの中学受験』大和書房(2022年)
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