2026-03-24
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幼児期に絵本の読み聞かせが学力に与える影響

BrainySprouts Prints 編集部

「読み聞かせると賢くなる」は本当か。オックスフォード大学・東北大学などの研究をもとに、絵本が語彙力・認知能力・情緒に与える影響を整理します(読み聞かせ 効果 学力)。


「絵本を読み聞かせると賢くなる」——そんな話を耳にしたことがある保護者は多いでしょう。でも、本当にそうなのでしょうか。感覚的な話ではなく、研究によって何がわかっているのかを整理してみます。

幼児期に絵本の読み聞かせが学力に与える影響

絵本の言葉は「日常会話」より豊かである

まず知っておきたいのは、絵本の中に出てくる言葉と、日常会話で使われる言葉は質的にまったく異なるという点です。

英国・オックスフォード大学のNationらの研究によると、絵本で使われる語彙は日常会話と比べて語彙の種類が多く、より複雑な構文を含むことが確認されています。2歳児向けの絵本でさえ、日常の子ども向け会話よりも文の構造が複雑だったという分析結果も報告されています(Nation et al., 2022)。

つまり、読み聞かせは単に「本を読んでもらう時間」ではなく、子どもが日常では出会いにくい豊かな言葉に触れる貴重な機会なのです。

語彙力への影響:研究が示すデータ

読み聞かせと語彙力の関係については、国内外で多くの研究が行われています。

東北大学の川島教授を代表とする研究では、読み聞かせをされた子はされていない子と比べて3倍相当の語彙の伸びがみられたという結果が報告されています。

また、海外の研究でも同様の知見が蓄積されています。幼児期に定期的に読み聞かせをしてもらった子どもは言語習得が速く、就学時により豊富な語彙を持ち、学校でより優秀な読者になることが示されています(Noble et al., 2020)。

さらに国内では文部科学省の全国学力・学習状況調査でも、読み聞かせを積極的に行った家庭の子どもは、小学生・中学生ともに学力テストの平均正答率が高く、国語のみならず算数の正答率も高いという結果が出ています。

「ただ読む」より「対話しながら読む」が効果的

研究が示すもう一つの重要な知見は、読み方によって効果が変わるという点です。

絵本に出てくる言葉を明示的に説明すること、内容について親子で対話すること、読み終えた後の活動(振り返り・関連した遊びなど)を取り入れることが、語彙の定着により効果的だとされています(Flack et al., 2018)。

日本でも読み聞かせ中に親子で話し合う方法と、じっくり物語を聴かせる方法の両方があり、どちらにも効果があるとされています。大切なのは「正しく読もうとしすぎない」こと。子どもの反応に合わせながら、楽しむ姿勢で読むことが続けるうえでの鍵になります。

語彙力だけではない:認知能力・情緒への影響

読み聞かせの効果は語彙力にとどまりません。

京都府立大学の研究では、家庭での読み聞かせ頻度によって語彙力やワーキングメモリーなど高次の認知能力が向上しうることが示されました。

また、東北大学の川島教授と山形県長井市との共同研究では、8週間の読み聞かせをしてもらった子どもは不安・抑うつなどの問題が減少し、親のストレスも軽減されていたという結果も報告されています。読み聞かせは子どもの学力だけでなく、親子関係や情緒の安定にも寄与する可能性があります。

いつから始めればいい?

「何歳からが効果的か」という疑問を持つ保護者も多いですが、研究上は早ければ早いほどよいとされています。言語習得の土台となる音への感覚(音韻認識)は0歳から形成され始めます。文字の意味が理解できない月齢でも、声のリズムや抑揚、親との温かい時間が脳の発達を支えると考えられています。

大切なのは「完璧にやろうとしない」こと。毎日でなくても、短くても、継続することで効果が積み重なっていきます。

研究が示していることをまとめると、絵本の言葉は日常会話より語彙が豊富で複雑であり、定期的な読み聞かせは語彙力・学力に好影響を与えるデータがあります。対話しながら読むと効果がさらに高まり、語彙力だけでなく認知能力・情緒にも影響し、始める時期は早いほどよく継続が大切です。


参考文献

  • Nation, K., Dawson, N., & Hsiao, Y. (2022). Book Language and Its Implications for Children's Language, Literacy, and Development. Current Directions in Psychological Science, 31(4), 303–309.
  • Flack, Z.M., Field, A.P., & Horst, J.S. (2018). The effects of shared storybook reading on word learning: A meta-analysis. Developmental Psychology, 54(7), 1334–1346.
  • Noble, C., Sala, G., Peter, M., Lingwood, J., Rowland, C., Gobet, F., & Pine, J. (2019). The impact of shared book reading on children's language skills: A meta-analysis. Educational Research Review, 28, 100290.
  • 文部科学省(2013)平成25年度 全国学力・学習状況調査
BrainySprouts Prints 編集部幼児・小学生向け知育アプリ・Webサービスの開発・運営チーム。保護者の声をもとに、家庭で使いやすい教材づくりを続けています。
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