中学受験の算数に出てくる「特殊算」ってなに?
和倍算・差倍算・植木算・つるかめ算など、中学受験でよく出る特殊算を一覧で整理し、家庭学習でどこから始めると取り組みやすいかを解説します。
中学受験の算数を見ていると、学校の教科書ではあまり見かけない名前の問題が出てきます。
和倍算、差倍算、植木算、つるかめ算、旅人算、過不足算、仕事算。こうした問題は、まとめて特殊算と呼ばれることがあります。
名前だけ見ると難しそうですが、特殊算は「特別な公式をたくさん覚える単元」というより、文章題を整理して考えるための型です。計算そのものよりも、文章の中にある条件を読み取り、図や表にして関係を見えるようにする力が大切になります。
この記事では、中学受験でよく出る特殊算を一覧で整理しながら、家庭学習ではどこから始めると取り組みやすいのかを見ていきます。

特殊算は、文章題を整理するための型
たとえば、次のような問題があります。
AとBを合わせると36です。AはBの2倍です。AとBはそれぞれいくつですか?
これは、和倍算の考え方で解ける問題です。
「合わせて36」「一方がもう一方の2倍」という条件から、2つの数を求めます。ここでいきなり式を立てようとすると、文章題が苦手な子は手が止まりやすくなります。
そこで、線分図を使って「Bを1つ分とすると、Aは2つ分。合わせると3つ分」と整理します。すると、36を3つ分に分ければよいことが見えてきます。
特殊算は、このように文章の中にある条件を読み取り、「これは和倍算の形だな」「これは植木算の考え方で整理できそう」と見分けていく学習です。
中学受験でよく出る特殊算一覧
特殊算には多くの種類があります。分野ごとに整理すると、次のようになります。
| 分野 | 特殊算 | どんな問題? |
|---|---|---|
| 数量関係 | 和差算 | 和と差から2つの数を求める |
| 数量関係 | 和倍算 | 和と倍数の関係から数を求める |
| 数量関係 | 差倍算 | 差と倍数の関係から数を求める |
| 数量関係 | 年齢算 | 年齢差が変わらないことを使う |
| 数量関係 | 過不足算 | 配ると余る・足りないという条件から考える |
| 数量関係 | つるかめ算 | 2種類のものの個数を求める |
| 数量関係 | 消去算 | 条件を比べて一方を消して考える |
| 数量関係 | 平均算 | 平均と合計の関係を使う |
| 割合・比 | 売買算 | 原価・定価・売値・利益を考える |
| 割合・比 | 食塩水の濃度算 | 食塩・水・濃度の関係を考える |
| 割合・比 | 相当算 | 割合からもとの量を求める |
| 割合・比 | 還元算 | 逆からたどってもとの数を求める |
| 速さ | 旅人算 | 出会う・追いつく問題 |
| 速さ | 通過算 | 電車が橋やトンネルを通過する問題 |
| 速さ | 流水算 | 川の流れと船の速さを考える |
| 速さ | 時計算 | 長針と短針の角度を考える |
| 仕事・水 | 仕事算 | 何人で何日かかるかを考える |
| 仕事・水 | 水そう算 | 水を入れる・抜く・漏れる問題 |
| 仕事・水 | ニュートン算 | 増える量と減る量が同時にある問題 |
| 規則性 | 植木算 | 木の本数と間の数を考える |
| 規則性 | 周期算 | くり返しの規則を使う |
| 規則性 | 方陣算 | 正方形や列に並べた数を考える |
| 規則性 | 数列 | 数の並び方のきまりを見つける |
| 場合の数 | 場合の数 | 並べ方・選び方を数える |
| 図形 | 面積図 | 面積を使って数量関係を整理する |
| 図形 | 図形の移動 | 点や図形が動いたあとの面積を考える |
| 論理 | 推理算 | 条件を整理して答えをしぼる |
| 論理 | 約束記号 | 独自のルールにしたがって計算する |
これだけ見ると量が多く感じますが、最初から全部を一度に学ぶ必要はありません。まずは、考え方の形が見えやすいものから始めると、文章題に慣れやすくなります。
まずは和倍算・差倍算・植木算から始める
BrainySprouts Printsでは、代表的な特殊算の中から、現在和倍算プリント、差倍算プリント、植木算プリントを公開しています。
どれも、文章を読んで条件を整理する力を育てるのに使いやすい単元です。特に和倍算と差倍算は線分図、植木算は図や間の数と相性がよく、「何を1つ分と見るか」「間はいくつあるか」を目で確かめながら進められます。
| 最初に取り組みやすい特殊算 | 見るべき条件 | 練習プリント |
|---|---|---|
| 和倍算 | 合わせていくつ、一方はもう一方の何倍 | 和倍算プリントを見る |
| 差倍算 | 差はいくつ、一方はもう一方の何倍 | 差倍算プリントを見る |
| 植木算 | 全体の長さ、間隔、両端に置くかどうか | 植木算プリントを見る |
和倍算は「同じ大きさのまとまり」を見る
和倍算は、「合わせていくつ」「一方はもう一方の何倍」という条件から、2つの数を求める問題です。
たとえば、「AとBを合わせると36です。AはBの2倍です」という問題では、Bを1つ分、Aを2つ分と考えます。合わせると3つ分なので、36を3つ分に分けると、1つ分が見えてきます。
和倍算は、比の考え方にもつながる大切な特殊算です。文章題が苦手な子も、線分図にして「同じ大きさのまとまり」がいくつあるかを確認すると、関係を整理しやすくなります。
練習するときは、答えだけでなく、線分図が問題文の条件に合っているかも見てください。和倍算プリントでは、合計と倍の関係を線分図で整理する練習ができます。
差倍算は「差が何個分か」を見る
差倍算は、「差はいくつ」「一方はもう一方の何倍」という条件から考える問題です。
たとえば、「AはBの3倍です。AとBの差は20です」という問題では、Bを1つ分、Aを3つ分と見ることができます。AとBの差は、線分図で見ると2つ分です。つまり、20が2つ分にあたります。
和倍算と差倍算はよく似ていますが、使う条件が違います。合計を使うのが和倍算、差を使うのが差倍算です。この違いを意識すると、問題を見分けやすくなります。
差倍算プリントでは、差と倍の関係から1つ分を求める問題を練習できます。
植木算は「ものの数」と「間の数」を分ける
植木算は、木の本数と「間の数」を考える問題です。
たとえば、「まっすぐな道に5mおきに木を植えます。0mの地点から20mの地点まで植えると、木は何本必要ですか?」という問題があります。
このとき、20mを5mごとに分けると、間の数は4つです。ただし、0mと20mの両端にも木を植えるなら、木の本数は間の数より1本多くなります。
植木算で大切なのは、「ものの数」と「間の数」はいつも同じではない、という点です。両端に置く、両端に置かない、円や池のまわりに置く。この条件によって考え方が変わります。
植木算プリントでは、3つの型を図で確認しながら練習できます。型ごとに進めたい場合は、両端に置く問題、両端に置かない問題、円や池のまわりの問題から選べます。
ほかの特殊算にも少しずつ広げる
和倍算・差倍算・植木算に慣れてきたら、ほかの特殊算にも少しずつ挑戦していきましょう。
| 特殊算 | どんな力につながる? |
|---|---|
| 和差算 | 和と差の関係を整理する力 |
| つるかめ算 | 2種類のものを整理して考える力 |
| 過不足算 | 条件の違いから人数や個数を求める力 |
| 旅人算 | 速さ・時間・距離の関係を考える力 |
| 仕事算 | 全体を1として考える力 |
| 食塩水の濃度算 | 割合や比を整理する力 |
| 周期算 | くり返しのきまりを見つける力 |
特殊算は一つひとつ別の問題に見えますが、共通しているのは条件を整理して考えることです。
図にする。表にする。同じところと違うところを見つける。何が変わらないのかを考える。こうした力が身についてくると、文章題全体に強くなっていきます。
BrainySprouts Printsでは、今後も特殊算のプリントを少しずつ拡充していく予定です。お子さんが無理なくステップアップできるよう、基本的な考え方から練習できるプリントを増やしていきます。
特殊算は、暗記よりも整理する力が大切
特殊算という名前を見ると、「解き方を全部暗記しないといけないの?」と思うかもしれません。
でも、本当に大切なのは暗記ではありません。何がわかっているのか、何を求めたいのか、どの数量が変わらないのか、どの数量が増えたり減ったりするのかを整理することです。
和倍算なら線分図。差倍算も線分図。植木算なら間の数。つるかめ算なら表や仮定。食塩水なら表。旅人算なら図や線分。
このように、問題に合わせて図や表を使えるようになると、文章題はぐっと解きやすくなります。特殊算は、その整理のしかたを学ぶための道具です。
低学年からできる準備
中学受験の特殊算と聞くと、難しく感じるかもしれません。でも、低学年のうちからできる準備もあります。
たとえば、「合わせていくつ」「どちらが何個多い」「同じ数ずつ分けるとどうなる」という会話は、特殊算の土台になります。買い物、配膳、おやつの分け方、カレンダーの規則など、身近な場面にも数量関係はたくさんあります。
いきなり難しい公式を覚えるよりも、絵や線で表す、表にして比べる、規則を見つける経験を積むことが大切です。こうした経験があると、あとで線分図や表を使う学習に入りやすくなります。
家庭学習では、見える形にするところから
家庭学習で特殊算を始めるなら、最初から多くの種類に手を広げる必要はありません。
まずは、文章の条件を図にしやすい和倍算、差倍算、植木算から始めると取り組みやすくなります。問題を解いたあとに、「どの言葉を見て和倍算だと思った?」「間の数はいくつだった?」と確認すると、解き方の丸暗記ではなく、条件を読む練習になります。
中学受験の算数には、学校の教科書ではあまり見かけない特殊算がたくさんあります。名前だけ見ると難しそうですが、特殊算は「特別な才能が必要な問題」ではありません。
文章をよく読み、条件を整理し、図や表にして考える。その練習を重ねることで、計算力だけでなく、文章を読み取る力、条件を整理する力、筋道を立てて考える力が育っていきます。
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